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そうべつへのいじゅう 

自宅前の景色(2021年12月撮影)

2022年01月 その2 - 漬物

2022/02/15

たぶん、誰にも幼少のころに食べなれていた思い出の味というようなものがあるのだと思うのです。

常々不思議に思っているのは、普通のラーメンの話をするとき(常に新しい味を追い求めている方々とは別次元の話です)、「うまい」の味覚が人それぞれかなり異なっているということで、これは幼少のころに食べたラーメンの味に依るのではないかと思っています。自然と昔、食べなれていたものをおいしく感じるのではないかと思うのです。そういった「おいしい」ものは、意外と手に入らないもので、売っていなかったり、あるいは売っていても期待した味ではないということが多々あります。

そうなると、私の口癖、「無いものは自分で作るしかない」ということになります。
もともと料理が好きだったわけではないのですが、手に入らないのだから自分で作らないと仕方がないのです。そうして作り始めたもののひとつに、「イクラのしょうゆ漬け」があります。イクラのしょうゆ漬けは普通に市販されているし、お寿司のネタにもありますが、なぜかどれひとつ、私の食べたい「あの味」ではないのです。そのレシピは非常に単純で、酒、みりん、しょうゆがそれぞれ1:1:1という、ごく一般的なものなのです。で、作ってみると、期待した味になるのです。以来、毎年自分で作って冷凍保存して常備するようになり(実際にはまだ作り方を研究中です)、お寿司でイクラを注文することも、瓶詰のイクラを購入することもなくなりました。どれも期待した味ではないので。

さて、話はそれましたが漬物も同様で、普通に北海道の家庭で作られている漬物だと思うのですが、自分が期待しているものが買えないのです。それで、今シーズンは食べたかった2種を作ってみることにしました。一つ目は白菜の漬物。シンプルに塩で漬けたものですが、発酵して酸っぱくなったものが好きなのです。家庭ではよく作られていると思うのですが、市販されているのは浅漬けばかりなので。二つ目は聖護院大根(京野菜で大きな蕪のような丸い大根)の酒粕漬けです。これも市販されているのを見たことがありません。これらがどうしても食べたくて。

幸い農業の町なので野菜は良いものが安く手に入ります。直売所に行くと漬物用の野菜を束にして売っています。本当は漬物にするために白菜も聖護院大根も栽培していたのですが、思ったよりも生育が遅く漬物の時期に間に合わなかったので、買うことにしたのですが、直売所に行くとすでに売り切れでした。どうやら、聖護院大根の時期は一瞬のようなので、気を付けなければいけないようです。10月29日に、なんとか別の直売所で見つけ、5kgはありそうな巨大サイズを5個(1個100円)購入。白菜は11月5日に4個(700円)購入しました。
 

買ってきた白菜を下処理
 

塩で下漬け中
 

出てきた塩水を捨てて昆布を入れて本漬け
 

白菜は4個とも漬ける予定でしたが買った樽に入りきらなかったので3個だけ使いました。4つに切って一日天日干しして夜は室内で干しました。塩(白菜の重量の3%)をすり込んで樽に入れ、重しをして下漬けします(11月7日)。5日ほどで十分な水分が出たので、それを捨てて昆布を入れて本漬けです。水が出るとかさが減るので4個でも樽に収まった気がします。暖かくならないように、そして凍らないように冷暗所で保管します(我が家では玄関のスペース)。約1週間(11月18日)で試食しましたが、かなりいい感じになってきました。

それから正月明けまでの約2か月、毎日おいしくいただきました。思いのほか家内が気に入ってくれたので、予定よりも早くになくなりました。来シーズンは4個すべて漬けようと思います。
 

1週間で食べ頃
 

聖護院大根は巨大なものは8つに切り(10月30日)、1週間ほど天日で干した後、塩で下漬けし11日後(11月18日)に水を入れて一晩塩抜きをして、酒粕を入れて本漬けです。

酒粕は、甘酒で使う白い板粕ではなく、熟成された茶色味を帯びた漬物用の酒粕で、それに味噌とザラメを混ぜ合わせます。レシピはネットで調べたものを、適当にアレンジしました。本漬けから1か月で食べごろです。
(参考までに今回のレシピ:干した後の聖護院大根18.2kg、塩漬けは塩450g+水1リットル、塩抜き後に、酒粕5.8kg、味噌1.6kg、ザラメ2kgで本漬け)
 

園芸用の支柱で三脚を作って干してみました
まるで、さらし首です
 

動物の被害を避けるために菜園内で天日干しです
 

まずは塩で下漬けです
 

酒粕、味噌、ザラメを混ぜて本漬けです
 

十分漬かって汁が出ています
 

試食用にひとかけら
 

切るとこんな感じです
 

見た目は期待どおりです
 

12月17日、本漬けから29日目、試食してみて驚きました。意外なことに食べたかった漬物、まさにそのものが出来上がりました。皮は歯ごたえがあり中は柔らかくしっとりとしていて酒粕の香り。絶妙な味噌の塩加減と少し強めの甘み。このまま放っておいたら奈良漬けになりそうです。
たぶんビギナーズラックなのでしょう。これほど期待どおりのものができるとは思ってもいませんでした。

意外だったのは、家内が気に入ってくれたことです。結構、クセの強い漬物なのでどうかなと、思っていたのですが。これで、来シーズンの仕込みもお許しが出るでしょう。我が家の冬の定番にしたいと思います。

それから毎日、たくさん食べているのですが、大根が巨大だったので、まだ今月いっぱいはいけそうです。

 

さて、妹に白菜の漬物を作る話をすると、「あの酸っぱいヤツ?私、嫌いだわ」と。
幼少のころに食べた味が必ずしもうまいと感じるとは限らないようです。

 

 

 

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