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そうべつへのいじゅう 

自宅前の景色(2023年9月撮影)

2023年10月01日 - お酒のお話(その2:日本酒編2)

2023/10/01

さて、以前「日本酒はフレッシュなものを!」というお話をしましたが、今回はお気に入りのおいしい北海道のお酒の話です。10月1日は日本酒の日なので。

以前は、よく言う「スッキリとした辛口」というカテゴリでお酒を選んでいましたが、実際に飲んでみると水のように無味無臭に近く、自分の好みに合わないお酒ばかりでした。しかし、日本酒ナビゲーターの講習で気付かされたのは、自分は「酸味」のあるお酒が好きだということでした。実は酸味のあるお酒ほどスッキリしていて辛く感じられるということに気が付いたのです。そのため甘口でも酸味のあるお酒はスッキリとして美味しく感じられます。ここでいう酸味というのは乳酸菌飲料のような酸味(ヤクルトのような、あるいはカツゲンのような)で、お酒を造る過程で乳酸発酵をさせることによって加わる風味なのです。漬物好きの私は乳酸発酵が大好きなのです。一般的な日本酒は効率よく発酵させるために人工の乳酸を使います。これを「速醸酛(そくじょうもと)」といい、これに対して天然の乳酸を使う場合を「生酛(きもと)」と呼びます。(日本酒の製造工程は分かりずらいので、ここでは詳細は省略します)

私はこの昔ながらの製法で天然の乳酸を使って作られた、生酛(きもと)造りや、山廃仕込み(同様に天然の乳酸を使います)が好きなのだと分かったのです。これでお酒選びで失敗することが少なくなりました。もちろん生酛や山廃でも好みに合わないものはありますし、生酛や山廃でなくても酸味のあるおいしいお酒はあります。

ところでお酒の甘辛の指標は日本酒度と呼ばれ、数値がマイナスで数字が大きいほど甘口、プラスの数字が大きいほど辛いといわれますが、それはお酒に残っている糖分の量のことであって、実際に感じる味わいとは必ずしも一致しません。もう一つの指標に酸度というのがあって(まれにラベルに表示されています)、これが甘い辛いの感じ方に効いてきます。一般的に1.3~1.5くらいが標準といわれ、これより数値が大きいと酸味が増します。

日本酒の販売会などで「酸味のあるものを」というと、「ああ、生酛とか山廃系ですか、今日は持ってきていないですね。最近は少なくなって、、」とのこと。どうやら辛口が増えてきているのだとか。これも、宣伝広告の影響なのか、「スッキリとした辛口」というフレーズが流行っているからなのでしょう。本当の味もわからずに。

北海道に移住してから、地元のいろいろな酒蔵のお酒を試しましたが、なかなか自分好みのお酒に巡り合えませんでした。それこそ辛口のお酒が多く、生酛や山廃を試しても、香りがカビ臭かったりで自分好みではありません。米や酵母が違うのでしょうか。(酵母の種類で香りが大きく異なります)

そんな中、雑誌の記事で見かけて気になっていた北海道上川郡東川町にある三千櫻酒造(みちざくらしゅぞう)のお酒を入手することができました。これが衝撃的でした。他の北海道の酒蔵とは全く異なり、香りも味も好みのものでした。

調べてみると、元々は岐阜県中津川にあった143年の歴史を持つ酒蔵で、2020年に東川町に引っ越してきたようです。東川町は北海道で唯一、上水道のない自治体で、すべての町民が地下水で生活しています。それだけ良い水がふんだんにあるわけです。元来、酒蔵は良い水のあるところに作られたもので、神戸の灘地方に有名な酒蔵が多くできたのは良い水があったからとのことです。

さて、この三千櫻酒造のお酒、普通酒と純米酒の他に酒米の名前がついた、「彗星」や「きたしずく」などがありますが、私は純米酒が好みです。価格は手ごろなのですが製造量が少ないためか、北海道に住んでいてもなかなか入手困難です。現在もコープさっぽろの宅配サービス、「トドック」で抽選販売になっており、たまにしか手に入れることができません。今後、流通量が増えてコンスタントに買えるようになることを期待します。

三千櫻の純米酒
 

純米酒は米と米麹しか使っていません
 

結局、北海道の酒蔵といっても、元は岐阜なので、きっと私の好きなお酒は北海道の酵母では造れないのではないかと疑っています。酒造に免許が不要なら、試しに自分で造ってみたいものですが、そういうわけにもいきません。

 

さて、そろそろ東京のお酒、澤乃井のしぼりたてや生酒の販売が開始されるはずです。忘れずに予約しなければ。

 

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[補足情報]:日本酒の火入れによる分類

通常の日本酒は品質を安定させるために、ろ過後の貯蔵前と瓶詰の前の二回、火入れをおこないます。この二度の火入れをおこなわないものとして、生詰、生貯蔵、生酒があります。間違って覚えている人も結構多く、紛らわしいので要注意です。

生詰:貯蔵前に火入れし、瓶詰の前には火入れしない(火入れは一回)

生貯蔵:貯蔵前には火入れせず、瓶詰の前に火入れする(火入れは一回)

生酒:貯蔵前にも、瓶詰の前にも火入れしない(火入れしない)

 

どれも、必ず冷蔵庫で保管してください。

 

 

 

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